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【読了】『センスメイキング:本当に重要な門を見極める力』【感想】

  • 執筆者の写真: さえ
    さえ
  • 2019年3月14日
  • 読了時間: 5分


ども、就活生です(自己紹介の仕方)


先日、合同企業説明会に参加してきました。

で、某社の方にES大量に書く時間あったら新書の1冊でも読んで来い(物凄く意訳)と言われました。


ここは素直に受け止めるべきところだと思ったこと、そしてTXの移動時間での生産性を上げるための手段として、本を大量に読み込もうプロジェクトを自分の中で勝手に立ち上げました。


記念すべき第1冊は『センスメイキング~~』だったわけなんですが、今この本流行ってるそうですね。

まあ納得の1冊。


というのも、元々私には進学希望がありました。

しかし、色々親とも喧嘩したり話し合ったりした結果、とりま社会に出よう、という話になりました。

で、絶賛現在就活生なわけなんですが。


私の中で、今までの人生経験をどう活かしていくのかが問題でした。

ぶっちゃけ3年の夏まで進学するつもりで人生設計してたわけで、自分のやったことに自信はあっても、自分の専門性に捧げすぎた大学生活については自身が持てていなかったです。

そりゃ、私の経歴的に普通入院ルート想定されますもん…。


その中で出会ったOBの方に言われました。

「別に君の専門が古代史であっても問題ない。君の気持ち次第だ(意訳)」

って。


そんなイベントもあったものですから、ものすごく刺さった本なんですよね。


元々『ファクトフルネス~~』を買おうと思っていたのですが、「STEM<人文科学」という帯紙と著者の哲学・政治学専攻マスターなコンサル会社設立者という経歴にひかれて立ち読み、気付いたら衝動買いしてました。


いや、刺さる、刺さる。

特に心に残った例が、56ページの具体例。


「四〇グラムのリンゴと一ぐらむの蜂蜜」というのは薄いデータだ。だが、「ユダヤ教の新年祭(ローシュ・ハシャナ)にリンゴを蜂蜜につけて食する習慣がある」となったとたん、これは厚いデータに変わる」

厚いデータというのは、クリフォード・ギアツの生み出した用語で、彼は「文化的に複雑なしぐさが持つニュアンス、つまりは生活に深みを付加する『厚み』の研究」(p.57)をしていたそうです。

で著者は感銘を受けて、自身が提唱するセンスメイキングのデータを厚いデータと呼ぶことにしたと。

で、対する薄いデータというのが、「我々の行為や行動様式の痕跡から得られるデータ」(p.59)。


いや、他にもいい例はあったんですが、父とこの事について議論したところ、一番端的にSTEMと人文科学の違いが出る例だと思ったので、この例を取り上げました。


父は大学で物理化学を学んだ後、今現在IT系中小企業を企業し、社長をここ30年ほどやってるおっさんです。

父に上記の例を話したところ。


「確かに、我々理系の人間は前者のデータしか見ない。後者は文系ならではの視点」

「宗教的慣習とか、完全に度外視している領域だからねえ」


という感想が。

でも、本を読み進めていくとそういう厚いデータを拾っていくことで、成功を収めているケースが存在するわけで。


これ、思うに「人文科学だから」ってぐれずに、「人文科学がやれることは何だろう?」と前向きに考えた結果だよなあって。

AIなどのSTEM領域が苦手・見ない領域にビジネス拡大のチャンスがあるとみているわけで。

相手の得意・不得意を知っているから出来た事なんだろうなあ。


おっと、文系不要論が分からなくなってきたぞ()。


ちなみに、父に言わせれば

「文理の区別は1つしかない。学費が高いか否か。

じゃあ、学費が高くなる理由は何か。

理系は文系に比べてお金がべらぼうにかかる実験をしているから。

でも、そう考えると数学って文系だよね。

十進法という”言語”の中で机上の議論を繰り広げているわけで、高い実験をしているわけではない。

で、自然科学や自然科学から派生した学問は数学の提唱する”言語”に基づいて実験をするわけだ」

だそうです。


うーん、文理が~~~なんて言わずに、互いのことをよく知るべきだなあ。

AI云々の前に、文系学問と理系学問について何か知っているんだろうか…。


さて、この本を読みながら、思い返した内容の本があります。




彼の実体験、ビジネスという視点から中東/西アジアを眺めた本なんですが、めちゃくちゃ刺されました、多分日本人全員が。

彼はイランの石油で三井物産が手酷い失敗をした後、そのリカバリのためイスラエルにわたって、日本isとてもお話にならない、ということを目撃したそうです。


言語学者がホメイニの言動や著作から論理や次の動向を探ったり、精神分析医や医師が本人のみならず、家族の疾患歴を探ったり。

政治学以外にも宗教学者、軍人、色んな人がシンクタンクで働いていたそうです。


彼が訪れたシンクタンクは「本当の意味で学際的」(p.46)だったそうです。

で、人文学はイスラエルにとって教養ではなく、生き抜くための武器の1つだったと語ります。

マジか。


で、まあ色々あって彼は最後に日本のアメリカの中東政策に対し思考停止なあり方を批判しているんですが。

思わず、それって今の人文学にも刺さることなんじゃないかな、って思ってしまいました。


思考せずに、誰かが提唱した「人文学=役に立たない」という枠組みを受容してしまっている。

その様は寺島の語る「アメリカがこういうから日本もそれに追従するべきだ」といった湾岸戦争期の日本の人々の像と重なるところがあります。


けれど、よくよく見ていれば/本を読んでみれば、人文学ですら世界の最前線で戦うのに不可欠な武器として扱われていた事例も存在する。

ただの教養だから、社会の役に立たない学問だから。

そういう考え方は非常に疑わしく感じられます。


『センスメイキング~』の著者のマスビアウによればアメリカですら今は人文学が役に立たないとする潮流に飲まれているそうです。

しかし、(その善悪は別として)人文学も役に立つ学問だということを総合商社とコンサル会社のお二人が証明しているのではないでしょうか。

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​2016年筑波大学人文・文化学群人文学類入学。紀元前2千年紀の経済史について学びつつ、アカデミックコミュニケーションや西アジアのニュースに強い関心を寄せています。

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