結局クルドなトルコリラ安の話
- さえ
- 2018年12月1日
- 読了時間: 11分

※こちらの記事は2018年9月22日の記事の再録です。
ホント筆が乗ると毎日更新しますね、このアカウント。
さて、今回はトルコ滞在シリーズから一転して、ちょっとまだホットなうちに、トルコリラ安についてまとめたいと思います。
なんでかというと、トルコ滞在シリーズでも言及しますが、なんとトルコリラ最安値の時に私はトルコに滞在していたからです。
客引きにもトルコリラ安使われるし、どんだけ敏感かよ。
そう呑気なことを考えていた私もいました。
帰国(8月14日)後に調べたら、これ案外デカい問題でした。そしてこれは将来的に日本外交とかにも影響しかねないんじゃないかな~~て感じでした。
外交とかド素人ですが、私なりに色々調べたのを纏めてみました。
お断り
基本的にソースは誰でもアクセスできるものを選んでいますが、定期購読しているウォールストリートジャーナル(以下WSJ)のみ有料コンテンツなのはご容赦ください。
今回の騒動の概要#とは
一言でいえば、トルコリラのレートが暴落したという話です。
安い!!
楽天証券によれば、こんな移動(2018/09/22/9:44時点)をしています。
まじか
📷
このグラフは3ヶ月のものですが、8月からめちゃんこ落ち込んでいるじゃないですか。
これを1年単位でみると、こうじゃ!!
📷
データは同じく楽天証券(2018/09/22/09:47ごろ)からです。
で、この結果、消費者的にはマジラッキーっていう状態でしたが、投資をしていた人たちには大損だったりしたわけです。
因みに、筆者は最安値を記録した時期にイスタンブールのグランドバザールに居たので、めちゃくちゃ得をしたタイプの人間です。
そもそも始まりは2008年から
とはいえ、この危機も急に始まったわけではないそうです。
ということで、同じく楽天証券のデータを10年毎に観てみましょう。(2018/09/22 09:52参照)
📷
お判りいただけたでしょうか。
2008年頃にもめっちゃ急落しているんです。
さて、9月10日のWSJの記事にも2008年は触れられています。
そう、2008年と言えばリーマン破綻からの金融危機。
10年の節目だからか、この記事のような若者世代の話以外にも、またそんな危機が来てもおかしくないねー、みたいなそんな記事が最近ちらほら。
これなんかもそんな記事ですね。
当時私は小学5年生。大した記憶はありませんので、ここでは割愛します。
重要なのはここでトルコリラの暴落が始まったということです。
これが2009年には1トルコリラ=60円程度で取引されるようになります。
どーん。
そしてここで終わらないのが、今回の暴落の1因になります。
やはりここは日本国民たるもの外務省のデータを参考にしたいところ(まーたいい加減なこといいやがって)
ということでぺたり。
2007年から第2次エルドアン内閣発足です。
デデーン。
このエルドアンが今回の要素1です。
2003年に第1次内閣を樹立し、政権を握ってから10年間、彼はトルコの民主化改革と経済改革を推し進めてきました。
(2018/09/22閲覧)
よく忘れられますが、一応トルコはNATO加盟国です。
西アジアの情勢安定化のためには、トルコの存在がキーだ、なんて言われていた時期もありました。
特にトルコはイスラーム国家の中でも世俗的な国家と言われてきました。
詳しくは高校世界史の教科書を見てほしいのですが、やっぱりそこには建国の父・ケマル・アタテュルクの影があるんじゃないでしょうか。
2015年のメディアには、未だアタテュルクの影がトルコ内では大きく、さらに民主主義の最後の砦はアタテュルクの出身でもある軍部、みたいな書き方をされていました。
事実、外務省のホームページにも何回も軍部によるクーデターが行われていることを確認できます。
(最終閲覧:2018/09/22)
が、2013年頃からエルドアンは独裁方向に踏み切り始めた、そんなことも言われてきています。
そんなエルドアンには唐人外国からは不安が寄せられるわけで。
しかもとうとう最近、「民主的な国家」から「民主的でない国家」へと下落しちゃいましたよ、トルコ共和国。
ここの不信感もあり、レートが下落を開始します。
更にさらに。
私は経済学を専攻していないので、詳細には説明しかねますが、レートの回復には金利を上げることが有効だと言われています。
位置的にも今後の経済成長が見込める、とかその他諸々の要因はやる法ですが、他の要因は今回の話に直結しないので割愛します。
ところがどっこい。エルドアンが邪魔をします。
エルドアンの最近の経済政策には「ブードゥー経済」なんてな批判もつけられています。
これにより、ますます不信感が投資家の中で漂ったのだとか。
更には身内を財務大臣に就任させたり、先日選挙で再選したさいにも、「独裁者」なんて言われるくらい、強める独裁体制…
他にも近年のISなどの問題で、治安にも不安を寄せられています。政治・経済も不安定そうなのに、治安もやばいのか…みたいなそんなあれ。
更には増していく中国経済への懸念と不透明な政治。
2018年には米核合意離脱もあり、一気に西アジアの情勢が不安定化します。治安がますます不安になるんじゃ~~~。
トルコとクルドの根は深い
私的に、これが一番影響していると思われるのが、クルド人問題です。
さて、今回のトルコリラ安のトリガーを引いたのが、対米関係であるとも言われています。
上述した不信感自体は2013年頃からあったようですが、対米関係が悪化したのは2017年10、11月頃。
なんですが、8月頃にズドーンッ!と下がったのにはもう1つの大きな要因があります。
それがブランソン牧師という方をめぐる問題です。
さて、このブランソン牧師という方はどんな方なのか。
トルコ・イズミルで布教活動をされていたのですが、クーデターほう助の疑いで逮捕されています。
あ、イズミルには、アタテュルク大学という大学があるそうですヨ。ソース:私の友人inトルコ
そう、トランプ大統領。
この福音派にとって、ブランソン牧師釈放は重要です。異郷の地で10年以上布教活動してるからでしょうか。
実際、着任後も福音派受けするような動向を取っていたようですし。
なので、圧力をかけました。(言い方選べよ)
2016年に逮捕したブランソン牧師を開放しろと。
(丁度自宅軟禁に移された翌日のことです。)
具体的にはギュル法相とソイル内相に経済制裁を加えたそうです。
が、エルドアン大統領は当然講義をします。
「お前、NATO加盟国を脅して許されんのか!!」的な発言をします。
そういやトルコってNATO加盟国でしたね。加盟国感まったくないけれど。
なにが言いたいかというと、めちゃくちゃ対米関係冷え込みます。
そしてそれを受けて馬鹿みたいにレートが下がった8月13日、という構図が成り立ちます。
最近ではカタールやドイツが支援をして、何とか20円前後で落ち着きを見せ始めていますが、30~40円台に戻るにはまだまだかかるでしょう。
でもなぜブランソン牧師は捕まっているのか
結局そこが気になる所なんですよね~~~~。
さて、ブランソン牧師が捕まった2016年といえば、トルコであんまり嬉しくない事件が起きています。
7月15日、クーデター勃発です。マジか。
詳しいことは先ほど上に貼った外務省HP、トルコ共和国の基礎データの5章内政のところで確認できるので、本記事では割愛します。
まあこのクーデター、失敗しているんですけどね。クーデター未遂事件として記録されます。
でも、ここでブランソン牧師はクーデター幇助容疑をここで掛けられ、逮捕されます。
この失敗したクーデター、誰によるものなのかというと、ギュレン運動という派閥によるものです。
当初はエルドアンの支持母体であったもの、2013年以降関係は冷え込み、とうとう完全決裂を起こした派閥です。
そしてこの事件を契機にエルドアンは独裁の方向性を強めたとも言われています。
で、その幇助でブランソン牧師は捕まっています。
が、これはあくまで直近の話。
どうやらブランソン牧師は別案件でも幇助をしたと(トルコ政府に)言われています。
それはPKKの支援。
そしてクルド人とトルコ政府は仲が悪い。
近年歩み寄りを見せたかと思いきや、衝突を起こしまくったりしてます。
…よく事件に遭遇しなかったな、トルコに居た時の私。
それはさておき、クルド人を巡っても米土関係はちょっと荒れています。
なんと、オバマ大統領の時点で既にごたごたしてきています。
トランプ大統領だけじゃないんです、原因は。
というかちょっと前まで大統領でしたし。
で、ISが一番ヒートしていた時期はこの人の任期でした。
てか、バクダーディー殺害声明もこの人でしたよね。確か。
平和#とは…。
ISには色んな呼び名がありましたが、IS以外で一番有名な名称はISISかと。
Islamic State of Iraq and Syria。
ISILとか他にもありますが、結局一番言われていたのはISISだと勝手に思っています。当時ちゃんとカウントしておけばよかったかな。
で、思い出されたか方もいるかもしれませんが、クルド人って別にトルコだけにいるわけじゃないんです。
イラク、イラン、シリアの国境地帯にまたがっています。
で、彼等はISに対抗する要因として、アメリカに目を付けられ、支援を受けたと言われています。
当然、当時からトルコ政府から抗議の声が上がります。
そりゃそうだ。
で、更に今回のブランソン牧師が援助したと言われている団体を加味してみてください。
お判りいただけたでしょうか。
実際の真偽は別として、いかに容疑がトルコ政府の地雷を踏み抜きまくっていたかということについて。
前述した「NATO加盟国を人質にとっているぞ!お前!」的な発言にもつい納得してしまいます。
問題はどこまで容疑が真実か、って話なんですけれど()
結局クルド人じゃねえか。
筆者がそう思ったのも無理がないでしょう。
以上、理由2:クルド人、でした。
まとめ
8月11日のWSJによれば、米土関係の火種は6つあります。
ブランソン牧師、シリア、インジルリク空軍基地、フェトフッラー・ギュレン、ハルク銀行、エルドアン大統領の警護隊
でもこの記事が示す通り、結局半分はクルド人問題が起因しているんですよね―――――。白目。
確かに残り半分はエルドアン大統領への不信感にカテゴリされるでしょう。
そりゃ(確か)中学社会でもクルド人問題を扱いますわ。
本当に根が深い。
最後の最後にまじめな話をすると、日本にとってもこれは重要だと思ってます。投資家以外にとっても。
というのもトルコは八方美人な外交をすることに定評があり、既にロシアや中国に接近を始めているんだとか。
詳しくはこちらの記事もご覧ください
今トルコが反米国家に完全になってしまったら…。
中国がアメリカとの貿易戦争どうにかしない限り、トルコにそこまで答えるとは思えませんが…。
半年後にはトルコリラはどうなっているんでしょうか??
エルドアン大統領のツイートで衝撃的な噂もたったことですし、ホント今後どうなるんでしょうね。白目
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="tr" dir="ltr">Rahib olduğunu iddia ettikleri Brunson Askerdir.<br>Amerikanın Irak'ı işgalinde Irak altınlarını yağmalama operasyonlarının komutanı idi.<br>Bu görüntüler de bu yağmalamanın fotoğrafları. Amerika için bu rahibin ne kadar önemli olması, ya konuşursa...<br>ABD Irak’tan çaldıklarını Ver. <a href="https://t.co/XH0keCm2UJ">pic.twitter.com/XH0keCm2UJ</a></p>— Mehmet ERDOĞAN (@mehmeterdogan27) <a href="https://twitter.com/mehmeterdogan27/status/1031436840958611456?ref_src=twsrc%5Etfw">2018年8月20日</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
これがフェイク何だか、そうじゃないんだか。。。真実はどこだ(真実は1つなんでしょ、ねえ名探偵コ〇ン)
一介の消費者である大学3年生の切実な願いとしては、卒業旅行の時までもう少しトルコリラ安が続いてほしいものですが(おい)
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